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私達の体は穀物や野菜、肉、魚などの食べた物からできています。食事は、食べ物の命を丸ごと頂くことで、食べ物に含まれるタンパク質は体の成分となり、糖質(炭水化物)や脂質は体を動かすエネルギー源となります。また、ビタミン、ミネラルや食物繊維が適量に含まれているため、これらの成分が体内で相互に補完しあいながら働き、私たちは健康に生きることができるのです。食卓にあがる野菜や豆類、穀物の食としての効能が、大地の恵みから育まれた植物の生命力でもあると考えた先人の知恵です。
西洋医学では、食品栄養学に代表されるように、含有成分を中心に捉えて食べ物の有用性を論じています。今回は、ビタミンと食物繊維の有用性について述べます。
ビタミンは必要量こそ微量ですが、私たちの体内で糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素の代謝に必要な酵素を助ける補酵素となって、体の機能の調節や維持に関わっています。特にビタミンB群は重要で、多くの野菜に含まれています。体内では合成されないために必ず食べ物から摂取しなければなりません。不足すると各ビタミン特有の欠乏症が起こります。
炭水化物の中で、消化吸収できるものを糖質、消化酵素では消化できないものを食物繊維といい、水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性物質は粘性、保水性があるため、水分を多く吸収して膨潤し、胃の満腹感が得られます。また、一緒に食べた食物の移動を緩慢にし、糖分やコレステロールを包み込むようにして栄養分の吸収をゆっくりとする働きがあるので、食後の血糖値の急上昇を抑え、血中コレステロールを低下させる効果などが認められています。キノコ類に含まれるβ-グルカン や昆布など海藻類のフコイダン、成熟果実のペクチンなどがあります。一方、不溶性物質は口から摂取後はそのまま大腸まで運ばれて便の量を増やして腸壁を刺激し排便を促進します。適量摂取は腸内環境を整えて大腸がんを予防し、さらに肥満、Ⅱ型糖尿病や心臓病のリスクを低下させます。全粒穀物のセルロース、リグニンなどがあります。
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| 池上文雄プロフィール:薬学博士・薬剤師。千葉大学名誉教授・グランドフェロー・特命研究員。一般社団法人日本薬用機能性植物推進機構理事、一般社団法人日本国際薬膳師会顧問。専門は薬用植物・生薬学や漢方医薬学。「地球は大きな薬箱」をモットーに、薬学と農学の融合を目指し、健康科学を研究。著者・監修に「不調を食生活で見直すためのからだ大全 NHK出版」「図解 山の幸・海の幸 薬効・薬膳事典 農文協」など。 |
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