暮らしの中の身近な食薬        No.038

烏梅(うばい)








未熟な梅の果実を、薫製にしたもので、 梅実を籠に入れ、釜戸の煙で黒く燻し、乾燥させて作られます。梅という漢字から梅干しを連想しますが、塩は一切使われていません。
夏の暑気払いとして酸梅湯(さんめいたん)という飲み物が有名ですが、烏梅をメインに山楂子、甘草、陳皮などをお湯で煮だして作ります。甘酸っぱいジュースとしても売られています。またゼラチンで冷やし固めたゼリーのお菓子もあります。
烏梅は黒梅とも呼ばれ、約1400年前に遣隋使、遣唐使により薬用として伝えられました。烏梅は漢方薬としてだけでなく、当時は全く別の用途に使われ、貴重な物とされました。梅には「クエン酸」が多く含まれており、紅花から「紅」の色素を取り出す時、その天然のクエン酸を染色の「媒染剤(ばんせんざい)」として利用していました。紅花染めの場合、まずオレンジ色の紅花から、アルカリ性の灰汁で紅色を分離し、その後、烏梅(クエン酸)で繊維へ紅色を染着します。

  分  類  収渋類 
  性味/帰経 平、酸/肝、脾、肺、大腸
  効能効果  斂肺止咳:肺虚の慢性咳、喘息
        渋腸止瀉:慢性の下痢
        安蛔止痛:蛔虫による腹痛、嘔吐
        生津止渇:虚熱の消渇

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