中国で最初の薬学専門書「神農本草経」では、365種類の食薬を使う目的によって分類。元気で長寿を望むとき使うものを「上品」、病気を予防するために使うものを「中品」、毒性強く薬効強く病気を治療するものを「下品」としています。薬膳学が中医学の進歩とともに成熟期に入り、まとめられた書物が李時珍「本草綱目」。食療と薬膳の内容も多く、効能よりも、食薬の持つ性質、味、帰経、食品群で分類され、現代の考え方に近いものとなっています。この両書の分類を参考にしてできた、主編 辰巳洋、日本国際薬膳師会編「早わかり薬膳素材」の「上品、中品、下品」を基に、暮らしの中の身近な食薬を紹介していきます。

 No.075  
食 薬 名  茄子
区   分  下 品
分   類  止血類
性味/帰経  涼、甘/脾、胃、大腸
働   き  1.清熱止血 
 2.消腫利尿



茄子は、原産地はインドですが、日本では全国で栽培されている食材です。茄子の性味は、涼、甘。帰経は脾、胃、大腸です。茄子は、止血類で、熱を取り除き、出血を止めるため、血熱の各種出血を止める働きがあります。また、消腫利尿、健脾和胃の働きがあります。ナスの皮のあざやかな紫色は、ポリフェノールの一種であるナスニンによるもので、強力な抗酸化作用があり、がん予防にも効果が期待できます。ナスのヘタに含まれる天然化合物には、アポトーシス(細胞死)を促す作用があり、子宮頸がん細胞への抗腫瘍効果がすでに確認されています。水にさらしてアクを取る際は、ナスのアクはポリフェノールの一つでクロロゲン酸という美肌効果、老化防止効果の可能性があるため短めにします。

出典: 薬膳素材辞典 早わかり薬膳素材 名古屋大学プレスリリース
執筆者:Web部 中島悦子

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