中国で最初の薬学専門書「神農本草経」では、365種類の食薬を使う目的によって分類。元気で長寿を望むとき使うものを「上品」、病気を予防するために使うものを「中品」、毒性強く薬効強く病気を治療するものを「下品」としています。薬膳学が中医学の進歩とともに成熟期に入り、まとめられた書物が李時珍「本草綱目」。食療と薬膳の内容も多く、効能よりも、食薬の持つ性質、味、帰経、食品群で分類され、現代の考え方に近いものとなっています。この両書の分類を参考にしてできた、主編 辰巳洋、日本国際薬膳師会編「早わかり薬膳素材」の「上品、中品、下品」を基に、暮らしの中の身近な食薬を紹介していきます。

 No.061  
 食 薬 名  竜眼肉(りゅうがんにく)
 区   分  上 品
 分   類  養血類
 性味/帰経  温、甘/心、脾、肝、腎
 働   き  1.補益心脾
 2.養心安神




竜眼肉の原産地は、中国南部やインドで、日本では、沖縄県、鹿児島県が産地となっています。竜眼肉は、クロムジ科のリュウガンの果肉のことです。つるっとした表面で、茶色の皮を持ち、ライチより一回り小さい果実です。皮をむくと乳白色の果肉が現れ、中央に黒い種が入っています。性味は、温性で甘味です。果汁は少なめですが、その分濃厚な甘みがあり、メロンのような芳醇な香りが特徴です。リュウガンは生のまま食べることができますが、乾燥させたものは手に入りやすいです。
竜眼肉は、血を補充し、各組織・器官を滋養しながら、身体の生理活動を維持し、血虚証を改善する食薬です。竜眼肉は、心と脾の虚弱を補益し疲労を回復させます。また、血を養い、精神を安定させる養血安神作用があり、不眠、健忘、動悸、目眩、記憶力の低下を改善させます。
竜眼肉は「ロンガン」「桂圓」とも言い、漢方専門店で手に入る他、ドライロンガンやロンガン蜂蜜は、輸入食品店などで購入することができます。竜眼肉は、薬膳の食薬として使用する以外に、ドライフルーツとして食べたり、ヨーグルトなどに混ぜても美味しく気軽にいただけます。

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