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No.060 |
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食 薬 名 |
黄耆(おうぎ) |
区 分 |
上 品 |
分 類 |
補気類 |
性味/帰経 |
微温、甘/脾、肺 |
働 き
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1.健脾補中 4.利尿
2.昇陽挙陷 5.托毒生肌
3.益衛固表 |
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黄耆の原産地は、中国山西、黒竜江、吉林、日本では北海道、岩手県などです。黄耆は「黄花黄耆」というマメ科の植物の根ですが、この植物は淡い黄色の可愛い花を咲かせるので、黄耆の「黄」はこの花の色から来ているものと思われます。黄耆の「耆」は老人を意味します。なぜ黄耆に耆という字が当てられているのか、明代の本草学者・李時珍はその書『本草綱目』の中で「薬草のうち薬効が最も優れているから」と書いています。
黄耆は、上品の補気類で、臓腑の働きが低下した状態を気虚と言い、その時に現れる症候群を気虚証と言います。補気類は気虚証を治療する食薬です。黄耆の帰経は、脾と肺で、食欲減少や疲労、腹脹、下痢など脾気虚の症状、かぜを引きやすい、慢性の咳、喘息、自汗、息切れなど肺気虚の症状に用います。乾燥したものを生黄耆、炒ったもの炙黄耆といい、補気昇陽には炙黄耆、利水には生黄耆を用います。また、黄耆は、皮膚の慢性潰瘍など、美肌効果も期待できます。黄耆の性質は微温なので、熱証・陰虚・陽盛体質には禁忌で、高血圧の方は慎重に用います。味は、甘味で甘みが感じられます。
黄耆は、薬機法では医薬品と分類されています。漢方を扱うお店などで購入することができます。漢方薬では、補気や利水の働きとして帰脾湯、十全大補湯、防己黄耆湯などに含まれています。
中医薬膳学(辰巳洋著)から黄耆茶をご紹介します。
材 料:朝鮮人参6g、黄耆10g、みかんの皮1/2個分、みかん果肉1個分、蜂蜜
作り方:
①みかんの皮はみじん切りにする。
②朝鮮人参・黄耆を水500㏄に入れ、弱火で30分間煎じ、①を入れて蒸らす。
③ミキサーに➁とみかん果肉・蜂蜜をいれて攪拌し濾してから飲む。
効 能:補気行気
大補元気の人参と補気昇陽の黄耆を合わせ、気を
補います。補気によって気が滞ってしまうことを避けるためにみかん
の皮を入れて、補気をしながら行気をします。 |