薬膳インタビュー           No.057 

河本壽恵乃さん










プロフィール:富山県出身、足立区在住。産業給食で4年、保育園給食で27年間栄養士として働く。定年退職後、自宅を改装して2008年なつめ薬膳教室(本草薬膳学院認定教室)を開く。NPO法人足立ほがらかネットワーク・フードパントリー担当、老人ホームの栄養管理献立作成。管理栄養士と薬膳師の資格を生かして子供の健康と老人の健康長寿を中西医学合体の考えで広めていきたいと願っている。フルタイムで30年以上働らくことができ健康が支えられてきた事に感謝して、現在は、自分にできるボランティア活動を心掛けている。管理栄養士、国際薬膳師、日本国際薬膳師会総務部部長、国際飲食養生研究会理事

①「子供の健康と老人の健康長寿を中西医学合体の考えで広めていきたい」とのことですが、中西医学合体の考えはどんなきっかけで生まれたのですか?どのように広める活動をされていますか。
中西医学合体とは、栄養士の立場から中医学の良い点と、西洋医学の良い点を合わせて考えるという意味です。その考えは薬膳の交流会などで中国に行ったときに耳にした言葉です。 自宅の薬膳教室を使い、夏休みの子供のためのお料理教室や、フードパントリーといって生活にお困りの方への食糧配布をする活動で食事つくり相談などを行っています。足立区内での薬膳料理教室開催など自分でできると思ったことを長く続けていきたいと願っています。

②ボランティア活動を含めた薬膳普及活動を積極的にされていますが、どんなことをされているのですか?

1)在宅のがん患者の集いに薬膳を取り入れた昼食作り1か月1回を10年間ほど行いました。 その当時はがんの患者さんの集まれる場所が少なかったのです。夫が在宅で死にたいと願い、在宅ホスピス協会を設立された川越康医師の訪問診療受けたことが縁で知り合いました。先生と看護師の奥様が自宅を開放して週1回、昼食会を開催なさいましたので、その会に協力を申し出て始めました。胃がんの患者さんには薬膳粥にしたり、飲み込めなくなった方には一人分を汁気の多い献立にしたりしました。
2)NPO法人ほがらかネットワークでの有償ボランティア(1時間1000円)です。例えば一人暮らしの高齢者宅の掃除、通院付き添い、買い物など。今は近隣の腎臓病とリュウマチの高齢ご夫婦の食事作りを週2回、1時間で3~4品目作るなどしています。
3)8年前から木耳(きくらげ)販売の協力をしています。内モンゴルのオロチョン族の地域活性のための自立支援事業です。直接仕入れて50gに分包します。野性の木耳の販売です。

③いろいろと薬膳を作られてきた中で、(今の季節でなくても)最も効果効能の高いと思われた薬膳メニューはありますか?
薬膳を勉強することにより、徐々に自分の健康が増進していると気が付くことがあります。子供を産んだ後、春先に頭痛がすることが多くありましたが、いつの間にかそれが無くなっています。具体的には何もしていませんが、薬膳を学んで暮らしているうちにいつの間にか、食材の選び方、献立の立て方など薬膳にふさわしいものを選んでいくのだと思います。

④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
乾燥生姜です。私は冷え性なので、毎日お茶に2枚くらい入れて飲みます。香りも味も強く感じます。
材 料:根生姜100g。
作り方
(1)天板にクックシートを敷く。
(2)生姜を洗い、スライサーで縦方向にスライスし並べます。100gで天板1枚。
(3)オーブンを100度に温めていれて60分間乾燥させます。
(4)冷めたら瓶などに入れて保存します。1か月くらいで使い切ります。

⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
若いころは60歳位まで生きるようなイメージでしたが、もう十分に生きたとも思います。しかしお迎えが来なくては死ぬことはできません。在宅のがん患者の集いでは、毎回患者さんとその家族7~8名、担当医師や研修医担当看護師などと世話役ボランティア3人、合計で15食くらいを作っていました。そこでの食事が最後となって2~3日後に亡くなられた方もいらっしゃいますが、配膳された料理に「わー、おいしそう」と喜ばれるのがうれしくて、次は何を作ろうかと楽しみでした。食事だけでなく毎回誰かのお話を聞いたり、楽器の演奏があったり、皆で歌を歌ったり、フラダンスをしたりしました。わたくしもテーマをもらって薬膳の話を何回かさせてもらいました。今できると思ってしていることを長く続けていきたいです。小さな働きですが、家庭に地域に 社会に涼しい風を送り続ける人になりたいと思っています。

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