薬膳インタビュー           No.056 

荒巻芳江さん










プロフィール:埼玉県久喜市在住、所沢の専業農家5人姉妹の次女。父親の残した畑を姉妹で耕作、土日の草刈り担当。夜間大学で栄養学を学ぶが、栄養士見習い2年間後に国家試験受験資格ありを知り諦める。結婚後、フルタイムの仕事をしながら3人の子育てで多忙。退職後、調理師学校で1年間学び、調理師資格を取得。薬膳教室の存在を知り健康には興味があったので入会。猛勉強をして国際薬膳師取得。現在は町内会役員、ゴミ減量化推進委員、除草・樹木の選定のボランティアに参加。国際薬膳師会総務部理事(会計担当)

①調理師の資格を取得された後に国際薬膳師を取得されていますが、薬膳を学ばれた具体的なきっかけはありますか。
『華学園』の調理師学校の講師でいらした海老原先生から「東京栄養士薬膳研究会で薬膳教室をしているから、どうぞ」とのお誘いを受けました。栄養士の資格がないのでと迷いましたが、そういう人もいるとのお話しがあり、薬膳に興味が少しあったので入会。今から8年半前のことです。勉強し出して2ヶ月目に東京栄養士薬膳研究会で「薬膳セミナー」を実施するというので参加申し込みしまた。セミナーの先生が本会の会長の辰巳先生でした。一言も聞き逃すまいと勉強。聞くことは全て初めてのことばかりですが、何事も新鮮で有意義な日々を過ごしました。全て人に進められての体験ですが、薬膳と出会えて大変うれしく思います。授与式のために中国まで行ってきました。

②環境保全活動を積極的にされていますが、整体観を大切にすることは薬膳につながるという思いはどんなところにありますか。

環境保全活動という大きな事ではありません。除草・樹木の剪定は草を見れば取り除きたいという私の習性です。木を見たらどうしたら樹木が喜ぶかを考えたくなるのもそうです。冬至が過ぎたら背中から太陽を浴び、体内に「陽を取り込むぞ」、「陽気よ上がれ」と思います。普通に生きてきたことが全て整体観につながると思います。 父は耕作していた土地を子供たちが引き継いでいけるように家訓を残していきました。たい肥の作り方から病気予防、苗床の作り方、そして地産地消のことです。地産地消のメリットは、運送費がかからない。どのように作っているのか、わかりやすい。対面販売してれば、相手の反応が分かるなどあります。デメリットは、使用したい食材が生産されてなければ購入できない。利用者の必要な作物を作るのには大変な投資が必要。また天候にも左右されることです。でも家族農業は、夜なべをしたり無理ができると同時に用事があるときは、休むという融通がきくことですね。そして家族であればこそ、何でも話しあえることです。

③いろいろと薬膳を作られてきた中で、(今の季節でなくても)最も効果効能の高いと思われた薬膳メニューはありますか?どのような症状に対してどのようなメニューですか?
夏は暑い中、汗をぐっしょりかくので清熱解毒、生津の食材を取り入れてます。勉強する前には意識しませんでしたが、意識して取ることで夏バテ知らずです。トウモロコシの茹で方も変わりました。ひげはつけたまま、皮を数枚つけて茹でゆで汁も湯冷ましとして飲みます。酷暑といわれた夏でも、一日中太陽が出てる限り草取りしていても大丈夫です。補腎の大切さを教えて頂き、老化防止に役立ちます。日常的には、枸杞子のワイン付けや大棗のお茶、畑に植えてある肉桂の樹皮や小枝、桑葉、枇杷、胡桃、銀杏等、薬膳を学んだ事で多く利用しております。

④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
「むかご」です。山芋は掘るのが大変ですが「むかご」は、傘を広げて、蔓を揺すると落ちてきます。お米と一緒にたくことが多いですが、ほくほくおいしく頂きます。

⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
旬のとれたて野菜を食べる幸せ。農薬はほとんど使用せず、武蔵野の雑木林で掃いた落ち葉を3年寝かしてつかう腐葉土。その野菜づくりの一端を担うことが出来ればと思います。もちろん種は国産の在来でとれたのをつかいます。薬膳の勉強は本会主催の諸研修会にできる限り参加して勉強したいと思ってます。孔子曰く『学習するとき、考えずにやみくもに勉強しても身につかない。ただ考えるだけで勉強しなくても、やはり身につかない。勉強した後、実践に移すことは楽しいことである。随時、復習することによって、同じ内容でも違ったレベルで把握することができ、それを人に伝えることも可能になる』を肝に銘じています。

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