薬膳インタビュー           No.050 

鷲見海智袴さん










プロフィール:1936年生まれ。東京在住。栄養士養成短大を卒業後助手として勤務。25歳で結婚一男三女を育てる。育児中4年制大学の通信教育過程に通いスキルアップを計る。末娘の中学進学を機に栄養士養成短大に専任講師として就職。仕事をしながら管理栄養士、消費生活アドバイザ・他各種の取得。更に北京中医大学日本分校に通い国際薬膳師の資格を取得。本草薬膳学院設立時から顧問となる。中国薬膳研究会より国際薬膳師資格審査の委員を委任される。本草薬膳研究会会長、日本国際師会副会長 (本名 鷲見美智子:同期生の勝本海詠さんが、もっと人々に幸せをもたらす名として海智袴(みちこ)と付けて下さいました。)

①北京中医大学で薬膳を勉強しようと思ったきっかけは何ですか?
栄養士養成短大に勤務し始め、学生に調理学、栄養学、調理実習を担当していた折、学生を栄養士として世に送り出す際何か特別なものを持った栄養士として送り出すことを考えました。折しも中医大学の日本分校が開校されるとの情報があり、まず薬膳のもとになる中医学を自分が学ぶことにしました。授業は本校より教授の方が来られ、中国語での授業でした。在日の若い方が通訳者で授業は進められ、通訳者の方の内容がわかり難く大変な授業でした。数年過ぎた頃劉先生が来られ適格な通訳に勉強も進み中医学の奥深さを知ることができました。

②本草薬膳設立にも尽力されていますが、劉先生との出会いや中国交流について教えてください。

劉先生のお母さまと私の年齢が近いことから、色々とお心をかけて頂きました。先生が日本で薬膳の学校を創られると伺い、日本人のわずかながら教育界に席をおいた者としてお役に立てば・・と考えました。国際薬膳師の資格を取得してから先生からお誘いを受け、中国のいろいろな会議、薬膳のコンテスト等に参加させて頂きました。毎年の中国研修旅行は普通のツアーでは行かれない場所、中国の先生方との交流、特別な会食など貴重な体験ができました。特に、中国の先生方との交流は私の人生を豊かにして頂きました。会報誌「くこ」で紹介しています「美味薬食譜」は中国の薬膳研究会で出版された上下2冊のものを私に贈って下さいました。薬膳を勉強している私達にとって勉強になる内容でしたので考え微力ながら翻訳し、広報部の皆様と試作し掲載することにしました。

③いろいろと薬膳を作られてきた中で、最も効果効能の高いと思われた薬膳メニューはありますか?どのような症状に対してどのようなメニューですか?
日経新聞に掲載された私のメニューをご紹介します。料理名は、くるみの黒砂糖がけ生姜風味。
この料理のポイント:寒い冬のおやつにも、身体を温める工夫がほしいもの。腎の陽気を補い腰痛や冷えを改善するくるみに、胃を暖め血流をよくする温性の黒砂糖としょうがで、更に冷えを改善します。

【材 料】2人分:くるみ 60g、黒砂糖(粉末)60g、生姜汁 大匙1

【作り方】1)くるみはから煎りしておく。
     2)砂糖を小さめの鍋に入れ生姜汁を加え火にかける。
       黒砂糖が溶けて泡が鍋全体に広がったら5秒煮立て火から
       おろしくるみを加え全体にからめる。
     3)クッキングシートの上に広げて冷ます。

④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
大豆をおすすめします。大豆は一日一回は食したい食薬の一つです。

⑤健康長寿は「薬膳」にこそありと思いますが、薬膳はこれからどのように発展して欲しいですか?長寿の秘訣は?
人体を考えると、どんなに文明が進んでも自然のサイクルから離れることはできません。そしてその健康は日々の運動、睡眠、食事の在り方によって影響を受けます。なかでも食事の在り方は大きな問題です。薬膳の”未病を治す“という考え方は体調を崩して病気になってから病院に行くのではなく、体調を早く察知して食薬を選んで病気にならないということで健康長寿を続けることにつながるでしょう。現代栄養学に中医学に基づいた薬膳の考え方が加わることで、もっともっと健康長寿の人々が増えることでしょう。本草薬膳研究会も20年近く皆様のご協力で続けてまいりました。初志を引き継いでくださる方があれば薬膳の発展のために続けて頂きたいと思っています。今の楽しみとは、今年91歳になる主人と自分の健康をいかに保つか~~で、毎日の食事を考え、月の3分に1は岐阜の自然の中で過ごし、肺のクリーニングをして、東京では運動のためボウリングに週4~5回4ゲームしにでかけております。

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