薬膳インタビュー           No.047 

河村彩子(かわむらあやこ)さん










プロフィール:千葉県佐倉市在住。大学病院・一般病院で、給食管理業務や栄養相談業務に携わる。退職後は高齢の母親の世話をしている。2004年東京栄養士薬膳研究会に入会後、本草薬膳学院で国際薬膳師資格を取得。現在は東京栄養士薬膳研究会で薬膳や中医学を学んでいる。研究教室に属し、勉強の一環として、研究教室メンバーでイオン「百菜元気新聞」漢方スローライフのレシピ掲載。その取りまとめなどを担当している。国際薬膳師、管理栄養士、中医薬膳専門栄養士

①薬膳を学ばれた具体的なきっかけはありますか。
栄養相談中心の仕事をしている際、「身体を冷やす食材」「温める食材」とはと考えていた時に、東京都栄養士会主催の薬膳初級講習会が目に留まり、仕事に役立つかなと思い受講したのが始まりです。勉強していくうちに、薬膳はかなり奥深いと実感しました。講習会終了後、もっと詳しく学びたいと思うようになりました。

②薬膳研究会の研究教室に属していられますが、ご自身の生活や高齢のお母様のお世話などに、どのようにいかされていますか。
自分では思いつかないような薬膳料理や、日々の生活での薬膳料理の取り入れ方、体質や臓腑生理などとても勉強になります。それをどう生かしているかと問われると生かしきれていないのが現状かもしれません。体質は日々変化します。自分の体質や家族の体質を観察し状態を知り、薬膳的な面からも考慮するようにはなりました。92歳の母親はまだ歩けますが落とし物や忘れ物をするようになり、なるべく行動を共にするようにしています。朝下痢をすることもあり、これが先日習った五更泄瀉(脾腎陽虚)だと思いました。親の年齢や、自分の年齢を考えると栄養を考えるだけではなく薬膳の力が必要です。まだまだ勉強不足ですが、今までの食事に工夫し取り入れていきたいと思います。以前、職場の韓国の方から、国に帰るたびに紅参のお菓子をいただきました。元気が出るので韓国の方はよく食べられているようです。量は少なかったので元気がでたかはわかりませんでしたが、紅参は補気作用があり、虚弱体質に効果ありです。独特なにおいがあり、母親もそうですがあまり食べない方もいますが、私はうれしくいただきました。今、紅参パウダーが家にあります。料理にうまく使えないか・・・考案中です。

③「百菜元気新聞」漢方スローライフとは、そのレシピとは、どのような内容ですか。
毎月発行の野菜の新聞です。24節気ごとの薬膳処方を念頭において、旬の農産物の栄養学・薬膳学のコメントと共に、農産物を使用したレシピ1品を掲載しています。あまり料理をしない方でも興味を持って、作ってみようかなと思ってもらえればうれしいです。今年1月掲載の「にんじん」は、冬にどう使おうか迷いましたが、スライサーで簡単にせん切りにし、体を温めるしょうがや鶏肉と合わせて、餅でとろみをつけた簡単グラタンです。一人暮らしの若者でも寒い日に手軽に作ることが出来るかなと思いました。

④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
「なす」です。身体の余分な熱をとる作用があります。漬けもの、煮物、パスタや炒め物などさまざまな料理に活用できて便利です。今は一年中購入することができますが、暑くなるこの時季におすすめです。近所の家庭菜園をしている人からなすやミニトマトをたくさんいただいたときは、ズッキーニやニンニクも入れてラタトゥイユを作ります。冷やして食べるとおいしいです。

⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
百菜元気新聞の掲載が始まってから、簡単で作ってみたくなる料理は何だろうと考えるようになりました。テレビで薬膳料理が取り上げられる機会も増えましたが、作るのは難しいと敬遠されることもあるように思います。健康志向になり雑穀や発酵食品などとり入れている方が増える一方で、冷凍食品・レトルト食品など手軽で偏った食品で済ます若者も多いです。ざるにあげて冷ますとか、肉じゃがのように煮込むとかでなく、電子レンジに入れるだけなど時短料理が好まれます。これから梅雨の時期になるので湿を取り除く冬瓜やとうもろこしを食べようなど「簡単で栄養面に考慮しつつも薬膳的な考え方をとり入れた料理」これが、これからの家庭料理になることを願っています。

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