薬膳インタビュー           No.041 

田中節子さん










埼玉県蓮田市在住。大学薬学部を卒業後、製薬会社の研究室に勤務。その後病院薬剤師となり現在は調剤薬局薬剤師として勤務。子供のために読んだ本に「人間の体は3か月前に食べたものでできている」という言葉がずっと心の中に残っていた。60才を迎え健康でいるためには、何より食事が大切と実感。薬膳に出会い通信教育で猛勉強。薬局内で薬膳の紹介、職場の薬剤師と立ち上げた特定非営利活動法人から派遣される形で、高齢者の集まりで薬膳の普及活動を始める。(只今コロナ禍で休止)現在は薬剤師の仕事を軸に、老年者に多い疾患を予防するにはどの様な食材が良いかなどを伝えている。国際薬膳師

①「人間の体は3か月前に食べたものでできている」と健康であるには何より食事が大切と
 実感されたとのことですが、どのようにお考えですか?

体調を崩したことをきっかけに、夕食が8時過ぎると次の日は朝食をほとんど食べられないような日々が続いていました。40年くらい前のことです。そのころは薬膳という言葉は全く知らずにいましたが、食事の内容で体の作られ方が変わるのなら、自分で変えたいと思っていました。仕事を通して知ったフレイル等健康に対する意識は薬膳を学ぶことでさらに強くなっていきました。五臓の関わりはとても不思議で奥深いものでした。栄養とそれを届けるものとバランスよく働いていないと、滞りがでてしまったり不足してしまったりと考えるのはとても納得できるものでした。その基本は食事だと思いました。

②コロナ前には勤務先で薬膳講座を開いていたということですが、薬剤師として
 どのような内容にされたのでしょうか?

薬膳講座には、自分のこととして積極的に参加する高齢者が多く、同じ会場にいても暑く感じたり寒く感じたりする人がいることを実感してもらい、いつも食べている物が身体を暖めるものであったり、冷やすものだったりすることを話します。便秘の話の回ではどんな薬が出されているか挙げてもらい、酸化マグネシウムを例に薬の作用の仕方・注意の必要な副作用の症状など、それに合わせたお勧めの食材の話、さらに若いときはメタボの心配があるかもしれないが、年をとると、だんだん虚弱になるのでフレイル(心と体の働きが弱くなった状態)予防のためのお勧め補益の食材とさらにタンパク質などきちんと食べなければならないことを話します。シナモンなど手軽に買えるものでの薬膳茶の試飲をしたり、手指の運動もしたりと楽しむことも取り入れました。

③老年者に多い疾患を予防する食材のお話は、投薬時にも役立つと思うようになったのは、
 どのような理由からですか?

お年寄りは、病院で眠れない・痛い等不調を先生に訴えるたびに薬が出され、薬が増えていってしまう傾向はあります。若い人には薬に頼るだけで食べ物に関心のない人がいたり、薬を減らしたいと思っているけど、どうしたらいいかわからないという相談を受けることもあります。身についた生活習慣を変えることは難しいので、若いときから養生薬膳・改善薬膳の知恵をお伝え出来たらいいなと考えています。体調が悪化し、薬が必要な時は誰にでもあると思います。そのような方には薬を飲むように指導しますが、骨粗鬆症・高脂血症など生活習慣が影響しやすい疾患については、予防することも可能だと思っています。私も普段の食べ物に気を使っていますよ!ご飯は玄米を2分づき、黒米・ハト麦を加えたものを基本にして、気の巡りを良くする物(酢漬け玉葱など)は必ず食べるようにしています。

④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
腎・肝の陰を養い目の不調を改善する、クコの実をお勧めしたいと思います。クコの実は手に入れやすく、酒・デザート・お茶・料理にと、色々用途があるので使いやすいと思います。

⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
薬膳はめんどくさい・食材を手に入れにくいと言われることもありますが、身近な食材で作れること簡単なお茶から始められることを多くの方に知っていただきたいと思います。そして眼精疲労・貧血などよくある症状改善の薬膳にも興味を持っていただけたらうれしいです。健康のため週3回位ジムに行き、水泳・エアロビクスなどを楽しんでいます。これからも続けていきたいと思います。気分転換になります。

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