 鈴木裕子さん
青森県青森市生まれ。青森県弘前市の弘前調理師専門学校を卒業後2年間調理師として勤務。その後同調理師専門学校に就職し調理実習助手、教員として勤務 。現在は弘前医療福祉大学短期大学部の職員として主に調理師養成課程の学生支援を行うと共に一部授業を担当している。青森から本草薬膳学院へ通学、国際薬膳師取得。

①薬膳の勉強を始めたきっかけは何ですか?
人生も折り返しを過ぎて、仕事と趣味の他に何かスキルアップしたり、ライフワークを見つけたいと思っていた時に、書棚の隅から20年以上も前に購入した漢方に関する事典を見つけました。薬膳に興味を持って購入したことを思い出し、改めて本格的に学ぶ良い機会だと考えました。
②薬膳のここがいいと思うことは、何ですか?
「薬膳は中医学に基づいたオーダーメイド」「薬膳の良さは奥深さ」だと思いますが、今の自分にとっての良さは、薬膳は難しくもあり楽しくもあり喜びもあり、新たな人との出会い、勉強会は自分へのご褒美、といったところでしょうか。頭を悩ませた学びも仲間がいたから楽しく頑張れました。薬膳を考える時は“難”ですが“苦”ではなく、作る時は“楽”、食べてもらった時は“喜”です。また、中医学と薬膳を学ぶようになり、二十四節気や昔ながらの食習慣が養生や薬膳に関連するのではと、家族や周りのご高齢者に話しを聞く機会も増えました。例えば80才を過ぎた母から“むかご”は「大人が農作業をしている間に子供達がむかごを拾って茹でたものをおやつがわりにしていた」など、身近な歳時記や地元ならではの風習に関心を深めるようになりました。薬膳が様々なことでプラスに動いていると感じていて、学びを進めていく中で、その時々の薬膳の良さが変わるのかなとも思っています。
③薬膳で学んだことをどのように職員活動や日常生活に活かしていますか?
専門学校調理師養成テキストの中に、『本草綱目』や「五臓と五味調和」など薬膳の考え方のキーワードが掲載されていて、学生によく知られている食材や料理が薬膳となることを紹介しています。また、周りには加齢や女性ならではの悩みを持つ方もいますので、季節や体調が気になる時に使いたい身近な食材や料理を伝えています。中には、私が薬膳を学んでいることを知っていて「○○を見つけたの~!」「△△をいただいた」と届けてくれて、料理をおすそ分けすることもあります。薬膳はみんなの心も体もハッピーにしてくれると思っています。
④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
「菊芋」です。地元では昔から秋から冬にかけて菊芋と赤カブの漬物が食べられていました。小さい頃は苦手で大人になっても食べていませんでしたが、菊芋が食薬になると学び改めて食べてみると、「あら!結構イケる!」と、今では様々な料理に使っています。余分な水分を除き、胃の働きを整える効果に加えて「天然のインスリン」といわれているイヌリンが含まれているので、血糖値やお通じを気にされている方にも注目の食材です。近頃は県内各地で食物繊維やイヌリンが豊富な赤菊芋の栽培が盛んになっています。スーパーで山積みされている赤菊芋を見かけるとうれしい気持ちになります。
⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
今は仕事に加えて30才過ぎてから始めたバレエを続けています。“身体がかたい、脚があがらない、地を這うようなジャンプ”、私だけが息切れしながらも若い方々と楽しんでいます。先生は私が出来る範囲で振り付けを考えてくださるので、自称“貴重な大人”として年1回の発表会にも参加しています。薬膳の学びも実践もまだまだ足りず、薬膳を生活の中心に置くことはできませんが、郷土料理や自分が小さい頃から食べていた料理を薬膳にアレンジしたり、思い立った時に作ってみたりと身近なところから取り組んでいます。無理せず楽しみながら続けていき、将来的には薬膳を楽しめる場をつくれればよいなと思っています。 |