薬膳インタビュー           No.030 

奈良理香子さん











千葉県船橋市出身、大手銀行本店における献立作成と栄養相談業務、料理学校の助手を経て、食育・介護食イベントや栄養料理教室など幅広い世代の料理教室の講師、専門学校の講師等を務める。茶事の懐石料理や点心、薬膳料理本の料理制作にも携わる。現在、河北新報社と上毛新聞社の日曜版こども新聞、山陰中央新報社の生活応援情報誌りびえ~る等へのキッズクッキングレシピを掲載。食のコラムや情報誌のレシピ提供などを行う。小学生の頃から当時まだ市場に出回ることのなかったスナップえんどうの栽培したり、現在は、柑橘類やポポーなど種を蒔いて育て、野菜の栽培、知りあいの畑の手伝いを楽しんでいる。管理栄養士、国際薬膳師、三鷹地域活動栄養士会 会長、日本国際薬膳師会常務理事


①管理栄養士のお仕事を幅広くされていますが、薬膳を学ばれたきっかけは何ですか。
東京都栄養士会で薬膳に関心を持った方々で発足した東京栄養士薬膳研究会での薬膳理論と調理実習の勉強会に管理栄養士の先輩が誘ってくださったことがきっかけです。下の子どもが中学生になった頃でしたので、以前から興味のあった薬用植物などについても通じる学びができる機会だと思って薬膳を学ぶこととなりました。

②茶懐石料理や点心料理の制作やキッズクッキングレシピを考案されていますが、
 開発で特に気をかけていることや、薬膳が関連していることはありますか。

茶懐石料理、点心料理の制作やキッズクッキングレシピは、季節にあわせた料理、食材が手に入りやすいものを使うことを心がけています。「身土不二」その土地の季節の食物を取り入れていると、気候の変化にも身体がついていくことができるのではないかと思っています。中医学での「天人合一」と通じ、まだまだ学びの途中ですが薬膳の知識を活かせるようにしたいと思っています。そして、召し上がっていただいたものや掲載されたレシピをみて、自分でも作ってみようと思えるように作り方はシンプルにしています。日曜日の新聞と一緒に配布される子ども新聞は、お孫さんと一緒に作りました等声の便りが届くこともあり、とても励みになっています。

③家庭菜園や生産者さんのお手伝いをされたり、農業に熱い思いをお持ちのようですが、
 具体的にはどのようにお考えですか。

農作物は病害虫や天候による被害を受けることが多く、耕作方法の工夫や品種の改良など長い年月をかけて様々な努力で栽培されています。植物には昆虫による食害や菌やウイルス感染を避けるための物質が含まれていたり放出して守る能力があったり、数種類の植物を同時に栽培することによって相互に良い効果を与えるコンパニオンプランツや逆にそれぞれの生育が悪くなる組み合わせがあることは、薬膳で学んだ七情のようです。農産物が育つまでの道のりを考え、無駄なく美味しく食べることが大切、美味しいものを皆で分かち合って食べることが元気の源と考えています。住んでいる三鷹市内では、生産者さんの氏名と共に、手書きでの説明が添えられて想いの伝わる販売方法で農産物が購入できるところがあるので、とても有難く感じています。

④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
山東菜をおすすめします。白菜の一種で「山東白菜」「はくさい菜」「べかな」とも呼ばれます。5kg~10kg以上に大きく育ちますが、漬物用として12月に市場に出る以外は、小松菜ぐらいになったら早めに収穫したものがスーパーなどで買うことができます。葉はとても柔らかくてアクも少ないので、コールスローなど生でも食べられます。寒い季節は汁物や鍋に入れるとても美味しいです。写真は知り合いの畑で収穫をした時のものです。

⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
薬膳料理を作ろうと思わなくても薬膳になっている食事が用意できる力を身につけたいです。また、未来を担う子どもたちには、自分の食べるものを自ら用意できるようになり、季節や体調に合った美味しい食事で楽しく食卓を囲んでほしいです。自然を感じて時間や心にゆとりのある暮らしができるようにしたいと思っています。

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