 石渡千代さん
神奈川県横須賀市在住、国際薬膳師会設立時より会員。保健所、調理師専門学校、コミュニティーセンターなので健康講座、小中高校の食育講師などを歴任。専門学校では、調理福祉の科目「薬膳料理」を指導。本草薬膳学院認定教室「あんず薬膳教室」主宰。2000年に「横須賀栄養士薬膳健康づくり研究会」を立ち上げ、市民向け講演会、講習会、イベントを企画。薬膳の仲間と横須賀衣笠商店街に薬膳ランチの店「さんざし」オープン、横須賀のレシピコンテスト「よこすかsea菜丼」最優秀受賞。現在は福祉大学・地域の農家や漁業関係者と提携、食材紹介・栄養・メニュー開発など多彩な活動を続けている。2021年度第73回保健文化賞受賞。管理栄養士 国際薬膳師

① 第73回保健文化賞受賞おめでとうございます。
薬膳に目覚めたきっかけと、様々な活動の原動力は何ですか?
第一生命保険会社主催、厚生労働省、NHKなどの後援により保健衛生分野の課題に取り組む団体、個人に毎年贈られる賞で、今年は全国で9団体、個人では5人の中に選ばれました。横須賀の栄養士連絡協議会で推薦を受け、神奈川県栄養士会長推薦により今までの活動の実績を提出しました。肩書きに、管理栄養士のほか国際薬膳師も書き入れ、薬膳の活動も多く紹介しました。12月に授賞式予定です。国家資格の栄養士だけでなく国際薬膳師としての貢献が認められ、薬膳の価値を広くわかっていただけたら喜ばしいことと思います。
薬膳に目覚めたきっかけは、辰巳洋先生との出会い、国際薬膳師を受け、薬膳・中医学の奥深さに感銘しその魅力に引き込まれていったからです。人間の仕組みと宇宙が繋がり、栄養学だけでは埋め切れない「なぞ」をもっと知りたいと思いました。なぜ病気になるのか、未病対策を薬膳でより身近に具体的に伝えられたら、多くの幸せに役立つと思っています。
② 「よこすかsea菜丼」の開発のエピソードはありますか。
2014年11月頃、横須賀ではシーサイドマラソンが行われました。その日の催しとして、横須賀の海の幸と横須賀野菜を使ったレシピコンテストに出してみないかと誘われ、薬膳の良さを広める会「さんざしランチ」のグループで応募しました。横須賀は海軍カレーが有名なので海の幸のわかめをたっぷりご飯に入れ、カボチャなど横須賀野菜を飾ったカレー丼を作りました。地産地消が評価され最優秀賞を受賞しました。神奈川県横須賀地区栄養士連絡協議会では、2021年9月から、YouTube番組「さかえようじくんチャンネル」を始めました。アップロード動画“おしえてちよさん!”で、第1回“は地元のひじき簡単料理”を紹介しています。
③ お庭にハーブガーデンを設計されたと伺いましたが、ハーブの魅力は?薬膳への活用は?
玄関の横のウッドデッキの前に、ジュンベリーの高い木とその下にフェンネル、ローズマリー、カモミール、ナスタチウムなどを植えました。フェンネルシードができ、陳皮の戻し汁にフェンネルシードを少し入れ温めると、ハーブティーとして美味しく飲めます。カモミールの花は熱湯を注ぎお茶で、またお風呂に入れたりします。リラックス作用・抗炎症作用・カゼの時発汗作用等。ローズマリーは触れただけで匂い立ち虫除けにも。ジュンベリーは6月頃たくさん赤い実を付け、木を揺すって落ちてきた実をほおばります。アントシアニンも多く目の健康やアンチエイジングに役立ちそうです。
④ 食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
しらすをおすすめします。現在市販のしらすは主にカタクチイワシの稚魚で春・秋が美味しいです。鰯の別名は沙丁魚。性味帰経は温甘脾、働きは補益気血、栄養成分はたんぱく質・カリウム・カルシウムなどが多く、鉄分・ビタミンD、B12も含まれ、機能性として脂質の魚油は血栓予防、骨粗しょう症予防、免疫力アップなど、今コロナの対応としても使いたい食材です。塩分が多めなので食べ過ぎには注意が必要です。ちりめんじゃこはしらすを食塩水で煮てから天日干しした食品です。
⑤ 今後はどんな未来図をお持ちですか?
多様化の社会の中で自由に好きに食べ体調を壊して初めて食のあり方に迷い問い直す。何をいつどう食べたら良いのか、体と心の健康のためにあらゆる場面で「薬膳」を伝え続けたいと思います。 |