 矢野りつ子さん
京都市在住。デザイン、Webサイト制作や広報などの仕事に従事しながら、2014年から薬膳料理教室を開催。京都市内で「プチ薬膳教室・佳蓮 -karen- 」主宰(コロナで現在不定期開催中)発酵食、ハーブなどを取り入れた薬膳、養生茶、茶膳を紹介。第一子がひどいアトピーだったことから、食に興味を持ち、手作りが多くなった頃に「薬膳」と出会う。薬膳の料理教室に通った後、本草薬膳学院の通信で理論を学び、さらに学びたいと研究科へ。2020年から本草薬膳学院 大阪教室 中医薬膳師土日コース 講師。国際中医師、国際薬膳師、高級中国茶アドバイザー、ハーブコーディネーター、発酵食エキスパート1級

①発酵食やハーブをとりいれた薬膳を始められたきっかけは何ですか?
薬膳より早い時期から、アトピー改善のためにハーブは生活に取り入れていました。ハーブは「薬効がある植物」なので、薬膳の素材辞典など見ますと生薬と共通しているものが多くあることに気付きました。発酵食は保存食としての側面もありますが、腸内環境を整えるという健康効果も期待できます。味が良くなり、調理時間の短縮にもなり、忙しい方にもお勧めですので積極的に取り入れています。
②お子様のアトピーが治らず困っているお母様が多いようです。
ご体験よりアドバイスを聞かせてください。
娘の場合、最初は内科や皮膚科を受診し、薬による対症療法でしたが、薬に頼ることに疑問を持ち、次はアレルギー専門の診療所へ。除去食と共に栄養指導などを受け、除去する食材の種類が検査をするたびに増えていき、食事とおやつは手作りになり、親も子も精神的に大変な時期がありました。食材は無農薬や低農薬、ハーブなど良いと言われるものはなんでも試していました。もし除去食で効果がなければ、次は漢方のお医者様に診ていただこうと考えていましたが、漢方薬を試すことなく、成長とともに改善していきました。
こうした経験から「免疫力や抵抗力を作るのは薬ではなく、日々の食事や睡眠、それと安定した精神状態が重要」と身をもって感じています。これは中医学の養生法と共通することですね。
アトピーはすぐには治りませんが、体に入った異物に対する子供の正常な反応ですので、あまり心配せず接してあげることも治療の助けになると思います。又、病院によって検査方法や治療方法も異なりますので、説明に納得できるかなど検討されることをお勧めしたいと思います。
③本草薬膳学院大阪教室で講師をされるようになって、
いまどのようなことを感じていられますか
大阪教室では30代~60代と幅広い年代の方が学ばれています。生徒の皆さんは様々な動機で薬膳の勉強を始められていますが、辰巳会長の薬膳の本を購入されたことがきっかけという方もいらっしゃいます。コロナ禍もあり、実際に講義を担当させていただいた回数が少ない為、まだまだ不慣れですが、個人の教室で教えるのとは違いますので、責任感を持って薬膳をお伝えするようにしています。又、教えさせていただくことで学ぶことがとても多いので、学び直しの機会と捉えています。
④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
「冬瓜」は淡白な味なので、いろいろな料理に使えます。完熟して皮が硬い冬瓜は涼しい場所に置いておけば冬まで保存することができるため「冬」と言う字がついていますが、旬は夏。体の余分な水分を排出することができますし、汗を大量にかいたときの津液の補給もできます。湿気の多い梅雨から夏にお勧めの食材です。
⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
中医学も薬膳もまだまだ学び足りませんので、これからも学び続けていきたいと思っていますが、このように一生学べることに出会えて幸せです。
「自分の体の声を聞いてみよう」と思えるような何かきっかけを発信できないかと考えています。残念ながらまだ具体的な方法は思いついていませんが。今は教室に来てくださる方にお伝えするという地道な活動によって、又、その参加者方から他の方へと、徐々に養生の意識が各世代に広がるようにと願っています。 |