 日高ウイニーさん
東京在住、香港出身、オーストラリア国籍取得。14才から家族とオーストラリアに移住。留学中の日本人と国際結婚。日本へ移り、日本生活20年以上。アジア、ヨーロッパ、日本の食生活を経験。日本へ香港料理を伝える一方、日本の和食にも興味があり、麹文化を世界に伝えるため発酵ライフアドバイザーの資格取得し活躍中。「Hong・Kong・Lei」ライフマガジンにレシピ掲載。2020年10月に子宮筋腫切除手術を行う。薬膳と発酵の知恵で術後の経過は順調とのこと。発酵食品ソムリエ、国際薬膳師。

①香港での薬膳の考え方を教えてください。
香港ではどんな体調にどんなものを食べるべきか、どんな季節にどんなものを食べるべきか、食べ物で体を養生する考え方を常に持っています。薬膳の知恵は祖母から母へ、母から子供へと伝えられ、香港人のライフスタイルの一部です。私は生まれてから自然に、家族から受け継がれてきた薬膳の知識が、生活のもとになっていると思います。
②薬膳と発酵の知恵で子宮筋腫手術の準備をされたようですが、どんなことですか?
手術を決めたのは6月で手術は10月の予定でした。およそ4ヶ月間があるので、手術に向けて今まで本草薬膳学院で習った中医学を思い出して体調を整えました。
1. 漢末時代の名医、華佗は「適切な運動は病気にならない体になる」と説いていますので適切な運動をして体重を減らしました。
2. 中医学の「平補法」で陰陽バランスを整えました。さらに、積極的に発酵食品を取り入れて中医学と発酵食品で免疫力をアップしました。
3. 精神的に安定しないと中医学では「健康」と言えないことですから、心のケアとしてネガティブにならないように、楽しいことをたくさんしました。
③術後の経過も非常に良かったということですが、どんなことに気をつけたのですか?
1. 普段から冷たいもの一切口にしませんが、手術後に体を冷えないように病棟で白湯ばかり飲んでいました。
2. 流動食から固形物へシフトした初日に、大豆で作られたがんもどきを食べましたが、腸がまだうまく動いてなかったため、たくさんガスが発生して、中医学の「脹気」ですね。香港のおばあちゃんが、術後に大豆製品を食べていけないと言っていたことを思い出しました。本草で経絡のことを勉強して、足三里のツボを押して、たくさん病棟内で歩いて、しばらくしたらガスが出て、ほっとしました。
3. これまでにも開腹手術の経験はありますが、今回は術後痛みもなく、頭痛もなく、朦朧もなく、寒気もなく、吐き気のなく、意識がはっきりあり、手術した実感がなかったほど軽かったです。楽な術後はやはり日々の養生のおかげではないかと思いました。
④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
香港の食事でまず何よりも大事なのがスープです。広東語なら「湯」(タン)というものはスープのこと、食材を煎じて湯液を飲んで、食材の薬効で体を養うのは香港人の知恵です。そして、単一の食材を使うではなく、いくつの食材を組み合わせてスープを作ります。ハトムギ、蓮の実、芡實、茯苓などの材料でスープを煎じます。その中に、蓮の実は香港ではよく使う食薬です。
⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
私のルーツ香港では、様々な「醤」があります。香港の食文化と日本の麹文化をコラボして、発酵と薬膳の掛け合わせた無添加「醤」を開発したいです。それを用いて健康な美味しい香港料理を日本の方に紹介したいと思います。
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