 鶴井 恵実さん
東京在住。大学薬学部を卒業後、薬剤師として大学病院、救急病院に16年ほど勤務。その間臨床薬剤師として10年間従事。その後、夫の医療法人設立に伴い、理事・薬剤師、として現在に至る。
認定薬膳教室 薬膳Life Smiling Kitchen主宰、地区センターの『生涯いきいきサロン』や『女性セミナー』にて薬膳講座、薬膳料理講座を行う。『季節の薬膳二十四節季の養生レシピ』のレシピ制作に参加。薬剤師、国際中医師、国際薬膳師、国際薬膳調理師、[SCA]認定 スパイスコーディネーターマスター

①薬膳を学ばれたきっかけは何ですか。
もともと食べることが好きで何でもいただいていたのですが、夫の医療法人設立により自分達が健康で居続けていく事が、従事する医療スタッフと共に患者さんに信頼と安心の医療を提供し続けていく事につながると思い、年齢を重ねても健康維持出来るように毎日いただく食事を摂れるようになりたいと思ったのが薬膳を学ぶきっかけとなりました。
②薬剤師を本業とし薬膳師になられていますが、西洋医学と中医学との相違点、共通点はありますか?
西洋医学では、主観的情報(患者さんが訴える症状)に加えて、検査機器や医薬品による血液検査・画像(CT・XP・MRI)などによる客観的情報による情報分析が多く、異常がある部位を確定診断し画一的に治療を進めていきます。
中医学では、主観的情報(患者さんが訴える症状)からその病変を体全体の問題として捉え、病名がつかなくても未病のうちに治療し、四診(望診・聞診・望診・切診)により全身の客観的情報を収集・分析し、『証(病の本質・体質)』を診断し個別的治療を進めています。
臨床薬剤師として患者さんに服薬指導等を行うにあたっての主観的、客観的な情報収集は西洋医学でも中医学でも共通です。各種情報の収集や分析により、薬物の投与設計や効果予測を行ないますが、患者さん個々の情報だけですべてを推測は出来ず、一見同じような患者さんでも、同容量での薬剤の効果が違っていたり、副作用の出方が異なることもありデータのみに偏ることのない視点を持つことは中医学からも学べる点かと思います。
③クリニックの運営と言う忙しい仕事の中、毎日ご主人様の為に30品目のお料理を作っていらっしゃるのとのことですが、どの様な工夫をしているのですか?
週1回は食材の在庫チェックをし、1週間分の献立を6つの基礎食品群からバランス良く主食、主菜、副菜、汁物を決め、追加食材の買物リストを作ります。あらかじめ決めた献立で毎日の料理がスムーズになり、無駄なく買物でき、季節ごとにパターン化でき、時短出来てきます。食材は献立ごとに小分けして保存し、主菜、副菜などは作り置き、冷凍できるものはまとめて作り1食分ずつ小分けしています。主人は、全く好き嫌い無く何でも食べてくれていますが、今年の猛暑中、夏バテ防止に豚肉ブロックにスパイスを使った、自家製ハムをよく食べていました。
④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
これからの晩秋~冬の乾燥の時季には松の実をおすすめします。
薬膳的には皮膚・毛髪の乾燥、口渇、空咳   、便秘、また、タンパク質、不飽和脂肪酸、ミネラル類、ビタミンB類、ビタミンE、食物繊維なども豊富に含まれ、滋養強壮、生活習慣病の予防、冷え性の改善(血行促進)、貧血の予防、便秘の予防、美肌美髪などのエイジングケアと様々な効果も期待できます。
⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
幅広い年齢層の方々に、身近な食材で作りやすいメニューをモットーに食材の1つ1つには特性や効能があり、個々の環境や体質、体調に合わせて食材を選び、美味しく調理し、体質の改善や強化、病気の予防などの目的を果たすための食事が薬膳であり、単にお腹を満たすだけの食事から『誰が、いつ、何を、何のために食べるのか?』に注視し、健康で楽しい暮らしを得るための薬膳を知っていただけたらと思います。 |