 飯田 和子さん
山口県岩国市出身。栄養士として調理師学校等で栄養学や食品学講座等を担当。幼稚園等の食育授業、企業や自治体などで薬膳・食育・災害時の食・乳和食を織り交ぜたレシピ提案や講演会の実施、地域活性化のための商品開発、雑誌等へのレシピ掲載、書籍出版など多岐にわたり活躍。株式会社WA・ON代表取締役、本草薬膳学院講師、国際薬膳師、中医薬膳専門栄養士2020.07.30~『備えいらずの防災レシピ』好評発売中。

①薬膳を学ばれたきっかけから、起業へのいきさつは?
栄養士として栄養計算をしていると栄養価が中心となり、数字が揃えば満足する傾向にあり、何か矛盾を感じておりました。もっと食材をみつめたいと思い、スパイスやハーブの香りに興味を持ち、栽培を始めたのがきっかけです。
その後、栄養士の薬膳勉強会で陰陽五行、季節や個人の体質に合わせたオーダーメイドの薬膳を勉強したいという共通の目的を持つメンバーと東京栄養士薬膳研究会を立ち上げました。また、食育を中心にボランティア活動をして行くなかで、個人ではなく会社とした方が良いのではと提案され、企業とのかかわりも個人よりもスムーズになることもありWA・ONの起業を加速させました。
②食の活動を多岐に渡りされていて、やっていてよかったことは何ですか?
また、薬膳について今どんなことを感じていますか?
食の活動の中で、常にだれかのちょっとプラスになることを、提案することを目指しております。『料理って面白そう』『楽しそうだから作ってみようかな』と思っていただき、年齢にかかわらず、実際に楽しく作って美味しく食べることができるようにすることです。薬膳を学んだことで、レシピを考える際に、どの食材をどう調理するかが明確になり、薬膳と銘打っていなくても、商品開発であっても、食事のシーンを考え可能な限り薬膳的考察を加えられることが良かったですね。
一方で季節野菜と言われていても通年手に入る時代になりました。今こそ、薬膳の五行の概念を『食』に織り交ぜ季節感をもっと大切にしたいと思っております。
③『備えいらずの防災レシピ』を出版されたとのことですが、伝えたいことは何ですか?
「食べることは生きること」「非常時こそしっかり食べよう」を強く申し上げたい。備えいらずという考え方は、何もしないのではなくフェーズフリーということです。災害は日常の延長線上で発生しますが、もしもの時だけに使うのではなく、いつも使うということです。缶詰・レトルト食品ももちろん大切です。本書でも乾物を多用しております。乾物は、軽くて長期保存が可能で、うま味も凝縮されています。乾燥野菜や高野豆腐をLL牛乳で戻すレシピは特におすすめです。(※LL牛乳は60~90日常温保存可能)生鮮野菜も玉ねぎ、にんじんは長期保存できますよね。芋類ならじゃがいもやさつまいも。『一家に1本長芋』も提案しています。いつもの食材を使って3ステップで「簡単につくれる」美味しい料理。日常時と非常時という社会のフェーズ(時期、状態)を取り払い「いつもの食事」を「もしもの食事」にしたいと思っております。
④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
身近な食材としてキッチンを眺めてみると、いつでもすぐ使えるのは、はと麦(薏苡仁:よくいにん)です。お茶にしたり、お米に混ぜてご飯やお粥にしたり。プチプチした食感も楽しめ、日本の蒸し暑い夏には大活躍です。こっそり美肌を願っているのは内緒です。近年国内生産も盛んになってきているそうで嬉しいですね。
⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
「お料理って簡単で面白い。」「楽しそうだから作ってみよう」と思っていただけるレシピの提案。もちろん美味しく、また作りたくなるシンプルでアレンジも可能なもの。食材を選ぶタイミングで薬膳の考え方を組み込み、より多くのみなさまに展開する未来を目指しております。 |