薬膳インタビュー           No.007 

岡野定 玲子さん 










宮城県仙台市在住。小学校教員として勤務。定年退職後も小学校非常勤講師を続け、TBC河北カルチャーセンター、クリニック、公民館など薬膳教室講師としても活躍。薬膳普及活動として各種イベントで講演。山形肘折温泉で温泉女将や板前さん向けに「山菜と薬膳」の講演を行う。国際薬膳師、国際中医師、薬草友の会会員



①薬膳を始められたきっかけは何ですか?
「冬のソナタ」をスタートとし、NHKで韓国ドラマを放送していました。私が夢中になったのは少し後からだったのですが、日々韓流ドラマに埋もれていました。その中の大ヒットだった「チャングムの誓い」は、初めての韓国歴史ドラマでした。その中のチャングムの料理に使われる食材、生薬、体や気候を考慮して作られるメニューに新しい世界を見る思いでした。ドラマ終了ともに、私は仙台のチャングムを目指そうと、ミーハーな思いからのスタートでした。

②民間食用になる山菜・野草・薬草もたくさんありますが
「山菜と薬膳」とは具体的にどのようなレシピですか?

レシピは山形肘折温泉の方が考えられ、何度かメールでやり取りし、いろいろアドバイスをさせていただきました。「山菜の食祭り」ですから、中心は肘折特色の山菜がメインです。
http://sansai-kinoko.nmai.org/learn/plants/index.html(参考)

〇 疲れを取り元気になる料理:肘折の山菜の鍋
  (山菜、きのこ、鶏肉、白身魚、海老、ナツメ、にんにくなどの
  味噌仕立ての鍋)



〇 デトックス効果がある料理:鮎の山菜薬膳味噌焼き
  (鮎、こごみ、タラの芽、筍、枸杞の実)
  味噌:味噌、胡麻、芥子、豆鼓などの併せ調味味噌




③山形肘折温泉で温泉女将や板前さん向けの異業種コラボはどのようなものでしたか?
山形県肘折温泉は、月山の麓、銅山川沿いに数多くの旅館が存在し、日本有数の豪雪地帯としても有名なところです。
春から秋にかけては毎朝5時半から朝市が開かれ、春は山菜、秋はキノコと自然の恵みが豊富です。毎年行われている「肘折温泉山菜の食まつり」(5月~6月)に、今年は薬膳的な考えを取り入れて各旅館でメニューを考えようという取り組みでした。そこで、旅館の女将さんを対象にということでしたので、「山菜と薬膳の知恵で健康バッチリ」というテーマで、薬膳的な山菜の薬効、春のメニューの考え方、初夏、夏のメニューの考え方などについてお話をさせていただきました。山形のTV局や報道関係者も来ていただき、街の元気さを強く感じました。また、山奥の温泉街にも薬膳を摂り入れようとして下さる姿勢がとても嬉しく思いました。

④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
何と言っても棗(なつめ)です。女性にとって必需食材と思っています。補血補気の効果で、何よりほんのりの甘さが嬉しいです。料理にもお茶にも、スイーツでもなんでもいけます。私にとってはスーパーナツメです。

⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
チャングムから始まった中医学の学習でしたが、今まで知らなかった食のパワーを知り、体の不調がここから来ていたのかと推理小説の解決のように解けた感動を実感してきました。そしてそれは日々の食事で養生していくことの大切さも学びました。生薬に関心を深め、生薬となる植物に惹かれて植物園観察、自然散策。植物を乾燥したり成分をアルコール抽出したり。クラフト作りや手作りコスメ作りと、知るほどに、学ぶほどに、広がっていきます。まだまだ学習は続いていますが「学ぶ」から、少しずつ多くの方々に「伝える」立場になってきています。料理教室や、自然観察のイベント、様々な講座などを通して、食、食材、植物などのパワーや魅力を、薬膳をそれぞれの家族が美味しく食べて健康に過ごせるように、より多くの方々に様々な形で伝えていきたいと思います。

薬膳インタビュー掲載履歴へ▶︎ この章のトップへ▶︎