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私たちは『黄帝内経』の「五穀は養と為り、五果は助と為り、五畜は益と為り、五菜は充と為る」という言葉を、何をどれだけ食べるかという「献立」の話として捉えがちです。
けれど、その後には「気味合いて之を服し」とあります。大切なのは、食物の性味だけではなく、それを食べる時機と、そのときの身体との釣り合いではないでしょうか。
古人にとって、食べ物はいつでも同じ働きをするものではありませんでした。季節が変われば天地の気が変わり、身体の状態も変わる。同じ食べ物でも、時と身体との関係によって、その意味は変わります。
たとえば五穀の「養」。朝、身体が目覚め、胃腸が働き始める時間に温かな粥をいただけば、穀物は身体を養うものとなる。一方、夜遅くに重いものを食べれば、養うどころか胃腸に負担をかけることもあります。
五畜の「益」も同じです。冬の寒い時季には、温性の肉を適量いただくことが身体を助ける場合があります。しかし、暑い盛りに脂の多い肉を重ねれば、かえって身体に負担となるでしょう。
五果の「助」、五菜の「充」も、量だけでなく、季節や時刻、身体の状態を見ながら考える必要があります。
現代の栄養学は、何をどれだけ食べるかを数字で示してくれます。それは大切な知恵です。ただ、古人はそこにもう一つの問いを重ねました。
「今、この身体は何を求めているのか。そして、今は食べる時なのか」と。養生とは、完璧な献立をつくることではないのかもしれません。天地の節律に耳を澄まし、自分の身体の変化を感じながら、食べる時を選ぶこと。
何を食べるかだけでなく、いつ食べるか。そこに、古人の食養生の知恵が残されているように思います。
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蒋寒先生のプロフィール:
北京中医薬大学卒業後、8年間脳卒中および頸髄損傷の治療・リハビリに従事。日本中医協会会員。信条は「学びは自由への道」、中医学の普及と発展のために活動している。 |
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