2023.03
吉野葛(葛根):奈良県吉野地方
分   類:辛涼解表類
性味/帰経:涼性・辛・甘/脾・胃
働   き:解肌退熱、透疹、生津止渇、昇陽止瀉
食材紹介者:塚田真帆


葛はマメ科のツル性植物で、その花の美しさから古来より多くの人々に愛され、歌人たちに歌われてきました。吉野葛、吉野本葛とは、奈良県吉野地方とその近辺で精製された葛にのみ「吉野」と冠し、「吉野特産」や「吉野名産」と表示することができます。吉野葛の歴史は、室町時代からと言われており、吉野大峰山で修行する山伏たちが広めたとされています。山伏たちが修行の際、自給自足の糧として葛の根を掘り、その葛根を精製し澱粉にしたものを日本各地から来た修験者や参拝者たちによって各地に持ち帰られたことで、吉野葛が全国に知られるきっかけとなりました。吉野葛は、今も昔ながらの製法で良質な葛粉が作られ続けており、吉野葛は雑菌の繁殖を抑えられる極寒期に精製されます。葛の根に含まれる澱粉を、紀伊山地から降りてくる地下水のみで約1か月間かけて繰り返し精製され、その後2か月間かけて乾燥するため、葛の根1kgからわずか100gしか取れない貴重なものなのです。
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