 水本絢子さん プロフィール
横須賀市出身、広島在住。体育短期大学卒業後、企業や病院で運動処方の担当として従事した後、自身や友人の出産経験から、産後には特別なケアが必要と感じ、広島大学で生理機能学・解剖学・婦人科(周産期の看護)などを科目履修生・研究生として学ぶ。そこで読んだ論文をきっかけに鍼灸師となる。東洋医学の奥深い魅力に引かれ、深く学び続ける中で薬膳と出会う。数多くの患者さまとの出会いと別れの中で、根本から「生きるとは」「真の健康とは」を探求。現在は広島県江田島市のWork&Cafe「yohäc」にて薬膳メニューの開発を担当。また、パティシエや料理家、農家さんなどとコラボし、薬膳会を行っている。国際薬膳師

①産後には特別なケアが必要と周産期看護などの勉強をされていますが、なぜ鍼灸師を
目指したのですか?薬膳を学ばれたきっかけは何ですか?
妊娠中から産後の腰痛・骨盤痛の運動ケアを確立したくて研究生として論文を読みあさっていたところ、2007年当時のコクランのシステマティックレビュー論文で、妊娠中の腰痛・骨盤痛にもっとも効果的とされたのが鍼治療でした。鍼灸治療の質を向上させようと、弁証論治の力をあげたくて、学び続けるところを探していた時に、本草薬膳学院に出会いました。基礎科では薬膳が主体だったので、学ぶうちに身近にたくさんの人の健康づくりを担えると感じ、より深めていこうと思いました。
②「生きるとは」「真の健康とは」を探求されていますが、どのようなことですか。
病院に行って薬をもらい、人が治してくれるのではなく、自分の身体が本当は何を求めているのか、身体の声を聴きそこに敏感になれば自ずと求めているものを摂ったり、自分に要らないものは排除したりするはずです。東洋医学を古典に基づいてひも解けば、「自然界の一部に人間という存在があり、生きとし生けるものがそれぞれのバランスで生きている」という、ごく当たり前の整体観念と出会います。それは考えて見いだせることではなく、五感、第六感も含めて感じる感性が大切だと思います。「生きるとは」本来備わっている力を信じ、よりよく生きる感性をもつことだと思います。
流行にのってこれがいい、と言われたらそれに飛びつく人や、あれもこれも手をつけて結局は方向性を見失い身体に負担をかけている事をよく見聞きします。弁証で導きだした方向へ進めば、身体は回復しより元気になってくるはずです。そして季節や身体の状態、生活状況に合わせて、自分と向き合う方は、必ず健康を獲得することをたくさんみて来ました。「真の健康」を求めて行きたいです。
③WorkCafe「yohäc」はどうして始められたのですか?どんなメニューを考えられて
いますか。
鍼灸治療院をしていたとき、弁証を立てて施治する方法をとっていましたので、それがツボであるか食材であるかの違いで私の中では同じ事でした。年齢を重ね、一対一の治療ではなく、より多くの人に東洋医学の本当の力を知って健康になってほしい、この島に移住して自然の中で生活をする生き方をしたいと思ったのです。今年から始まった試みなので、まずは四季養生を意識したメニューを作っています。なにより、家でも作っていただけるような身近な食材、とくに江田島の風土にあったものを使用する、などを心がけています。
④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
「たこ」です。先日「ちさい(小さい)けど、壺に入っとたけぇ、持ってきた・・。」といただいたものをスタッフが手際よく下処理をしてくれました。その香りが格別だったので・・。
⑤江田島で、今後はどんな未来図をお持ちですか?
広島市の武田山に登ったとき江田島の絶景が見え、そこに東京から移住した友人や、趣味の仲間がいたので、江田島に職場を決めました。江田島は海軍の街で、生まれ育った横須賀と少し似た雰囲気もあって気に入っています。温暖で、海も山もある素敵な島です。いつか、この島に小さな家と少しの土地を持ち、自然循環の中に人もいるような、果樹や野菜、生薬を植え、自家製の薬膳茶を楽しみ、野性動物たちにおすそ分けもしながら互いのエリアを守れるような生き方がしてみたいです。 |