 藤多淑子さん
神奈川県横浜市在住。理学部を卒業後、医学大学の栄養学教室で研究補助員として勤務。出産で離職。その後家族とともに渡米。米国メリーランド州に9年居住。子供達が家を離れたので、何か新しい学びをしたいと思い、2016年本草薬膳学院に入学。2020年より横浜市食生活等改善推進員のボランティア活動に加わっている。国際薬膳師、国際中医師

①長期アメリカでのご生活で、趣の違った楽しい食生活をされたようですが、印象に残る
ご体験はありますか。
渡米したとき、まず驚いたのが、水の違いです。日本から持っていったお茶の味やお出しの味が美味しく出ないのです。それでも現地の紅茶やコーヒーは美味しく頂けたので、だんだんと慣れました。スーパーマーケットには、tofu, soysource(醤油)という表示の物もありましたが、tofuは固くて独特な臭いもあったし、soysauceはまるで日本のウスターソースに近い感じで味が全然違いました。でもバーべキューソースは燻製のような風味があり、とても美味しかったです。骨付きのチキンにバーベキューソースをマリネしてローストしたりお肉は薄切り肉がなかったので塊肉か厚切り肉、挽き肉を料理していました。
野菜や果物類は自然そのままの感じの物が、豊富にありました。スーパーマーケットはただ乱雑に山積み、ジュース類は大変濃くて美味しく、リンゴを絞っただけの茶色のジュースはそのうち発酵してサイダーになっていて面白かったです。ただ、牛乳やジュースが特大のガロン(3.8リットル)で売られているのには驚きました。
お魚は種類が少なく冷凍物が多かったです。でも金曜日になると、近くの広場まで魚屋が来てロブスターを売ってくれました。最初は生きたままのロブスターが跳ねるのが怖くて、大きな鍋を持って行って、その中に入れてもらっていました。近くのレストランでは、テーブルの上に新聞紙が敷かれそこに香辛料をまぶして蒸したメリーランドクラブが山盛り積まれて、木槌でパンパン叩きながら食べてるのです。メニューは蟹と飲み物だけ。楽しい経験でした。今想うと米国での食生活は、ダイナミックな感じでしたね。
②日本に戻られてから、薬膳を学ばれましたが、具体的な動機はありますか。
帰国してからボーイスカウト活動で子供達と自然の中で野外料理を一緒に作るのを楽しみました。野外の石窯でピザを焼いたり、ダッチオーブンで丸焼きの野菜を作ったり、竹を半分に割った中に具材を入れた竹筒蒸しを作ったり。
長年の海外生活で、肉中心の生活が当たり前になっていましたが、帰国して日本の食生活の豊かさに気付かされました。年を取っていく自分の健康を考える上で食生活を見直さなければと思っていた頃に、薬膳に出会いました。そこから中医学の奥深さを知り、今でも楽しく勉強を続けています。
③時々zumbaを踊られるようですが、かなりの体力が必要なエクスサイズですね。
どの様に補気を心掛けておられますか。
zumbaは午前中のクラスなので、朝食にいも類のポタージュスープや豆類のスープをよく飲みます。臓腑機能がまだ目覚めていないので胃にやさしく疲れも取ってくれるような気がします。コロナ禍になってからは、自分の体調と相談して、補気剤を飲むこともあります。
④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
『玉葱』です。気の巡りをよくする食材で、しかも安価で長期保存、年中手に入るので、台所に常備しています。我が家では酢漬けを肉の副菜にしたり、サラダにしたり、丸ごとオーブンで焼いたり、丸ごとのスープもよく作ります。新玉ねぎ、紫玉葱、ペコロスと種類豊富で楽しんでいます。
⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
現在加わっているボランティアの仲間は、食生活に興味がある方達の集まりなので、そこの地区会で薬膳を少しずつ紹介したいと思っています。食と健康について多方面からの知識を深めて楽しんで行きたいと思っています。 |