 庄中恵允さん
神奈川県小田原市在住。パソコン教室、中国料理店などの勤務を経たのち、ご縁のあった東京の日蓮宗寺院で出家。修行を経て、僧侶資格を取得。日蓮宗本部に10数年勤務。小田原市風祭の妙覚寺副住職。中国料理店での勤務をきっかけに、薬膳に興味を持ち、100日間の修行終了後、薬膳の勉強をはじめる。僧侶としての専門はご祈祷。病気や悩みもその根本を見極めることが大切と考え、現在活動中。
日蓮宗修法師、パソコンインストラクター検定1級、漢検1級、アロマテラピー検定1級、国際薬膳師、国際薬膳調理師

①100日間の修行終了後、薬膳の勉強を始められたそうですが、そのきっかけは何ですか。
中国料理店での勤務をきっかけに薬膳に興味を持つようになりましたが、約10年間は薬膳の勉強を始められるほどの余裕はありませんでした。その後、長年目標としてきた100日間の修行に30代半ばで入り、その修行を無事終えられたことで一つの節目を迎えました。その節目を迎えたことが薬膳の勉強を始める大きなきっかけとなりました。また、100日間の修行中は、基本的に朝夕お粥とみそ汁のみ、睡眠時間は2~3時間という生活でしたので、酷使した自分の体や元々の自分の体質を見つめ直したいというのも薬膳を勉強するきっかけになっています。
②目指しているお寺像、僧侶像があれば教えてください。
お寺へ行くとお経が聞こえ、仏教の教えにも触れることができ、人々が集い、悩みなどがあれば相談もできる、一見あたり前に思えるようなお寺を目指したいと思っています。また、生きる意味、生きている意味を考えるきっかけ作りができ、その方の人生に少しでも良い影響をもたらすような存在になれることが僧侶としての理想像です。行っても期待外れのお寺、会っても期待外れの僧侶、それが結果的に寺離れにつながっているとすれば、それはとても残念なことです。
③ご専門のご祈祷について教えてください。
日蓮宗のご祈祷は「悩みや問題解決」に積極的に向き合うのが特徴だと思います。誰にも相談できないような悩み、相談はしてきたけれど解決できなかったような悩みや問題を扱うことも多々あります。相手の話を聞き、何を求め、どこに問題があるかを見極め、そして「過去・現在・未来」という仏教特有の視点も使い、目に見えない人や生物などの「念・思い」というものも意識しながら対応します。見たくない自分、隠している過去に向き合わなければならない場面も出てきます。その方の成長なしに結果だけが満足に出るということはほぼありません。ご祈祷という道は、する方も楽ではありませんが、共に成長でき、悩みや問題が解決した時には共に喜べるという醍醐味もあります。
④食薬同源、おすすめの身近な食薬を教えてください。
おすすめの食薬は「ハチミツ」です。個人的には「マヌカ」という種類のハチミツをよく食べています。殺菌効果や便通改善効果も期待できるなど、活用法もさまざまです。特に、頭を使いすぎて疲労を感じた時に食べると、程よい甘みで疲れが和らぐように感じます。手軽に食べることができ、持ち運びもできるのが魅力の一つです。
⑤今後はどんな未来図をお持ちですか?
いま日本や世界は、たくさんの問題を抱えています。他人事だと思っていた問題が、突然自分のことになる可能性もあります。限定した未来図はありませんが、人間や自然、仏教の可能性を信じ、直面するいろいろな問題に積極的に取り組んでいければと思っています。
人は生まれたら必ず死にます。死は人間としての卒業式のようなもので、それ自体は恐ろしいものではありません。もれなく全員に、平等に訪れます。「死という現実を突きつけられるまで、生きることの大切さに気付かなかった」、そうなることの方が恐ろしいと私は思います。いま思い描いていることを一つでも実現できるよう、これからも精進していきたいと思っております。 |