古典の中医学書「黄帝内経」や「神農本草経」には、「四字成語」の表記があり、季節ごとの特徴や身体の変化や治療法などの言葉が多くあります。現在でも日常的な知恵として使われており、薬膳の基本となる処方も含まれています。今回よりそれらを取り上げ、四字成語をワンポイントで解説することに致しました。四字成語を日々の食養生に活かしていきましょう。
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補虚瀉実(ほきょしゃじつ)は、足りないものを補い、余ったものを捨てるという治則=治療原則です。「虚」は正気の不足によって、身体が弱り抵抗力が落ちている状態、「実」は正気は足りているけれど邪気が旺盛なために体に不調がある状態をいいます。いつもは「虚証」の人も、風邪をひけば身体に風邪という邪気が入り「実証」が加わります。不調が長引けば虚実は複雑に入り混じり、「虚」の状態が次第に「実」に変化し、「実」の状態が長く続けば「虚」に転じます。これを虚実挟雑(きょじつきょうざつ)といいますが、身体の中の「虚実」は一定ではなく、そのときどきで変化します。
例えば、加齢のため陰(潤い)が不足して、「虚熱」が全身症状に現れた場合には、水(陰)を増やして、火(虚熱)を治めます。これには潤いを補う作用をもつ滋陰食物が有効です。急性疾患の喉の痛みやインフルエンザ等の感染症など過剰な「実熱」があるときは、余分な熱を取り除きます。身体をよく冷やしたり、尿や便や汗などから不要な熱を追い出す方法を用います。瀉性(捨て去る性質)のもの、解毒作用のある食物を摂って熱を冷まし、解毒し、風熱邪を体外へ追い出します。
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