古典の中医学書「黄帝内経」や「神農本草経」には、「四字成語」の表記があり、季節ごとの特徴や身体の変化や治療法などの言葉が多くあります。現在でも日常的な知恵として使われており、薬膳の基本となる処方も含まれています。今回よりそれらを取り上げ、四字成語をワンポイントで解説することに致しました。四字成語を日々の食養生に活かしていきましょう。

  古代中国思想では、農耕、飲食、武器や道具の加工など日々の暮らしのなかで、「木・火・土・金・水」の5つの要素が欠かすことができない基本物質であるとして、これを「五材」と位置付けました。「五行」とはこの「木・火・土・金・水」の5つの物質の関係性のことをいいます。万物は「木・火・土・金・水」の運動と変化によって生まれるとの考えるのが「五行学説」です。中医学ではこの5つのイメージを人間の身体と呼応させて、人体の生理・病理の理解、病気の診断や治療に応用しています。「肝・心・脾・肺・腎」五臓や器官をはじめ、人体の生理や病理に関係する様々な事柄を「木・火・土・金・水」の5つの特性にあてはめて、相互には「相生=生み出す関係」と「相克=抑制する関係」があり、この2つの関係性によって、あらゆるもののバランスが保たれていると理論を発展させてきました。五臓同士は生理的に連絡し合いバランスをとっているため、病理的にも互いに影響し合います。一つの臓に異変があると他の臓にも影響を及ぼし、さらに順々に他の臓にも伝わっていきます。これを、「伝変(でんへん)」といいます。伝変には、大きく分けて「相生伝変」と「相剋伝変」の2種類があります。
執筆者:冬木れい 国際薬膳師 料理家
参考文献:
『中医学の基礎』平馬直樹、兵頭明、路京華、劉公望 *東洋学術出版社
『全訳 中医基礎理論』戴毅(監修)、淺野周(翻訳)、印会河(主編)張伯訥(副主編)*たにぐち書店
『やさしい家庭中国漢方講座テキストⅠ』川瀬清、猪越恭也 *家庭中国漢方普及会




 
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