温裏散寒とは、体の皮膚や筋肉に対して、内側の臓腑を温める治療法です。畏寒・顔面蒼白・体内の冷え・疼痛・足腰のだるさなどの寒症の症状の治療に用います。小寒の頃は寒の入りで、寒さが一段と厳しくなります。この季節には「三九厳冬の侯に補えば、来年は病痛なし」と言われます。人は一年の間に消耗し臓腑は衰え始めるので、この頃にほどよい栄養補給をして気血津液を補えば、厳寒の侵入を抑え、翌年の病気を予防し、半分の労力で倍の養生効果をあげることができるという意味です。
寒さは腎を傷めます。温裏散寒の性質をもつ食物で腎を暖めて寒邪を散らし、栄養を補給しましょう。風邪をひきやすいなど気虚証や血虚証の方にもおすすめです。 温裏散寒によい食薬に羊肉があります。性味は甘・大熱(温)、帰経は腎・脾・肝・胃、効能は温陽暖下…脾胃虚寒の食欲不振や重症の冷え、益気補虚…虚労や腎虚の腰膝疼痛などです。ラム肉のしゃぶ鍋(胡椒、丁香、クミン、生姜、五香粉で味付け)や羊肉四物湯(『薬膳の基本』より)などにすると食べやすくなります。

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