Vol.020 奥平純子さん
プロフィール:千葉県在住。父の看護経験等を経て薬膳に関心を持つ。本草薬膳学院で国際薬膳師、国際中医師取得。介護の傍ら、研究活動の一環として人間環境に関するまちづくり活動や薬膳紹介を含めた里山地域でのまちづくり活動に関わっている。博士(工学)。専門は人間環境デザイン科学。文学修士。


両親達は自宅で過ごし私の介護生活は15年を超えています。現在、夫と私それぞれの母親が90歳を過ぎ超高齢です。義父は95歳で他界しました。薬膳と中医学を学び、家族の顔の明るさや色、反応、食欲や食べ物の好み、皮膚、舌象などを、できる限り観察するようになりました。
季節の変わり目などの時期、超高齢者は屋内で過ごしていても、私達以上に外部環境の影響を受け、睡眠時間や食欲、反応などが大きく変化するように感じます。このような時に『黄帝内経』の「気」の考え方、つまり万物は気が凝集したものなので、同じメカニズムによる変化が起こり自然界の気の動きと人体の気が感応しあう、ということを実感します。
万物は気で構成されるという最も基本的な気に対する考え方から、例えば気虚・気逆・気脱などの病理変化の説明へ、また同じ気で構成される自然界の薬物植物を用いて疾病を治療するという考え等へと応用した中医学の素晴らしさに感動します。
収蔵の季節になると、身近な季節の食材の「気」を超高齢者に提供したくなります。補腎と補脾を目的としたメニューをと思いスーパーを見回します。栗と落花生と黒胡麻入りサツマイモのデザート、胡桃や落花生入り胡麻団子、山芋と海老の味噌汁などが喜ばれました。
超高齢者は一度にたくさんは食べられず、たびたび食べることを好むように感じます。おそらく一度に消化吸収できないためもあるかと思いますので、団子状にしていつでも少しずつ提供できるようにすると、おむすびに飽きた時のおやつにも喜ばれます。また味噌汁は超高齢者の口に合いやすいようです。目的に合わせた具を選び、「気」の入った味噌スープだけでも飲んでもらえれば、徐々に食欲や体力を回復できる場合もあるように思います。
薬膳は、人本来の生命力を守り引き出す魅力に溢れていると感じます。そして自然も人体も複雑なので、幅広く様々なことを勉強し続ける大切さも感じます。