Vol.013 永峯真一さん
鹿児島県霧島市在住。福岡県で建設・造園技術者として従事していたが父親の大病を機に帰郷。建設業とガーデンエクステリアデザイン事務所を運営。2008年、遊休農地を活用し農業を開始。にんにくを主とした香辛料生産と加工品の研究開発をすすめ、4年後に建設業を休止、営農・食品製造業に転身する。輸出開拓のためアジア各国を訪れていた際に薬膳と出会う。
2019年、薬膳とスパイスの専門店「薬膳小町」を創業。オリジナルの商品開発・製造・販売をおこなう。湯治宿やレストランなどの監修、OEM生産など展開。現在1ha規模の薬草木の森projectを計画中。国際薬膳師・国際薬膳調理師・土木造園技師・測量士


“なぜこんな場所にお店を?”
とお客様から問われることが多々あります。一番近い街からは車で30分、いわゆる過疎問題が深刻な地方の田舎に薬膳小町はあります。私の地元、鹿児島県霧島市牧園町は、北は霧島連山、南は錦江湾(鹿児島湾)という山海を挟むほぼ県央に位置し、古くからの温泉湯治宿も多く現存する町です。また湧水が豊富で田んぼや畑、茶畑などが広がる農村地帯でもあります。
当時、輸出商談で訪れていた中国で薬膳という言葉に出会い興味を持ち、そこから中医学・薬膳の資料を読み漁りました。その中で、「三里四方(拠点から半径約12km圏内)」という言葉を見つけ、なにげなく自分の居住位置を地図上にプロットしてみると、その径は海岸から連山までをまるごと囲み、高低差は1200メートル、海産物から農産物・畜産物まで全て揃うとても恵まれた地理環境であることに気づきました。そして三里四方の考え方とその中に在するヒト・モノ・コトが紡ぐランドスケープを想い描きはじめました。必然と中心街へのあこがれは遠のき現在の場所へ店舗工場を構えるに至りました。
この環境を背景に現在、薬膳をとりいれた地域の魅力づくりができること、また湯治宿×薬膳の構図ができつつあること、農家さんが薬膳に興味を持ち生産が始まっていること、など持ちつ持たれつが始まっています。三里四方の点と点がつながって魅力ある元気な地方になればと思うところです。今後もこの環境をフル活用させてもらいながら、“こんな場所だからこのお店”と感じてもらえる風土づくりを目指していきたいです。
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