Vol.008 水本絢子さん
プロフィール:広島の「エスペラァンス療養院」にて鍼灸治療を中心に心身のカウンセリングを入念に行い、体質と季節ごとの養生のお話、身体の使い方や効果的な体操の方法など包括的なセルフケアの提案をしている。また、各所で講習会や薬膳会、薬膳コースランチの提供も行っている。
国際中医師 国際薬膳師 鍼灸師


「せんせ~、今年も出来たよ。使うじゃろ~」「赤くなったよ、取りに来て~」「見にきんさい、よ~け~(たくさん)実っとるけぇ」そんな声がかかるのがとにかく楽しみです。生姜・みかん・棗・米・きくらげ・栗…とにかく色々な食薬を供給くださいます。オリーブオイルやオリーブの実の新漬け・いちじくや柑橘類のジャムを作っておられるNPOの方にもこだわりの詰まったおいしい加工品でお世話になります。また、漁師さんには直に鰻・蛸・牡蠣などを買わせていただき、さばき方も教わります。時には猪がかかったよ~との連絡。食薬に自分の手で仕上げていきます。
我が治療所の小さな庭でも金銀花・枸杞・棗・牛膝・薄荷・芍薬などを植えたり、近くの葛根・車前子・女貞子・桑椹などをいただいたりと採取・加工を日々しながら過ごします。「生きること」とは「命をいただくこと」。言葉上ではなく、五感でそれを感じながら、今あるすべてに感謝が自然と湧きあがります。どこのどんな食材、生産者さまがどんな土壌でどんな思いでつくってくれたのか…すべて明確な薬膳料理は、一味も二味も違うような気がします。まさに「気」を感じられるものに仕上がります。すべては生産者のみなさまのおかげ。そしてこの大自然のおかげ。まさに大宇宙と小宇宙の調和と循環を感じながら。
私の日々の薬膳は施術後のアフターティーから始まりました。その日の気候と個々の心身の状態に配慮して用意することが次第に習慣になり、幼児にはゼリーにしてみたり、冬になるとストーブの上で施術しながら作った薬膳粥をお昼にすすったりと発展して来ました。講座をやって。とご要望いただいたのをきっかけに、それなら資格を取ろう。と学び、ゴールはきっとないけれど、支えてくださる皆様と、学び続けられるこの会と先生や仲間のいる限り、これからも楽しんで進んでいこうと思います。
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