2023.01
仏手柑(ぶしゅかん):静岡
分   類:理気類
性味/帰経:温、辛、苦、酸/肝、脾、胃、肺
働   き:疏肝理気、和中化痰
食材紹介者:多根弘子


先が指の様に割れて当に仏様の手を思わせる柑橘類の仏手柑(ぶっしゅかん)。英語名も同じくBuddha’s Hand Lemonや、Finger citronなどだ。インド原産で日本へは江戸時代以前に渡ってきたらしく、大和本草(1709)にも登場する。縁起のいい実とされ、お正月のお飾りなどにも使われる。当園で栽培を始めたキッカケは生薬として利用するためだが、日本での栽培農家は非常に少なく苗木も入手困難であった。ラッキーなことに隣町の農家さんが栽培をされていて数本譲ってくださった。果実を切っても中は白い綿部のみで、果汁の入った果肉(砂じょう)は無い。だが柑橘の中でもとても爽やかな強い香りを持つ。当園ではスライスして乾燥機にかけて保存している。主に理気薬として使用され、ストレスなどによる上腹部のつかえ、胸脇分の張りや痛みの緩和に用いられる。また、胃腸の働きを整えたり、長引く咳で痰を伴う場合に去痰の働きもする。


2022.01
南五味子(なんごみし) 静岡県
分   類:収渋類
性味/帰経:温、酸/肺、腎、心
働   き:斂肺滋腎、生津斂汗、渋精止瀉、
      寧心安神
食材紹介者:森澤加代


伊豆の里山、雑木林の中で落葉した木にからまる蔓に、まるでかんざしの細工の様にひときわ目を引く赤い実をつけているのはサネカズラ、別名をビナンカズラとも言います。茎からとれる粘液が昔は整髪料に使われたことからそう呼ばれているそうです。生薬では南五味子、キャンディのような綺麗な赤い実の、粒々の部分をはずして干して使います。滋養強壮、鎮咳に用いられます。見た目は美味しそうですが、生では食べられません。
薬膳素材辞典には「五味子には北五味子と南五味子があり、虚寒の咳には北五味子、風寒の咳には南五味子が適する」とあります。北五味子がよく使われている五味子ですね。


2021.9
アラビアンジャスミン(茉莉花:まつりか) 静岡県
分   類:理気類
性味/帰経:温、苦、辛、甘/肝
働   き:疏肝解鬱、理気和中
食材紹介者:多根弘子


夏の間咲き続けるジャスミンの花、生薬名を茉莉花(マツリカ)という。沢山の種類があるジャスミンだが、お茶に使用するのはモクセイ科のアラビアンジャスミン!尚、ジャスミンと呼ばれる花にはミカン科、マチン科など多岐に渡り、中にはカロライナジャスミンなど毒性のあるものが存在するので注意が必要。
初夏に手作りした当園の無農薬緑茶に、摘んだばかりのジャスミンのつぼみを混ぜて香りを吸わせジャスミンティーを作ることに。作業中もあま~い香りに包まれて幸せな時間・・・。ジャスミンティーには体を温める効果やリラックス効果もあるので、コロナ禍で閉塞感がある中、是非おすすめしたいです。五臓の肝に働きかけて効果倍増です。


2021.3
金銀花(スイカズラ) 静岡県
分   類:清熱類
性味/帰経:寒、甘/肺、胃、心 
働   き:清熱解毒、疏散風熱 
食材紹介者:多根弘子


伊豆半島のあちこちに自生し、たねころ山でもよく見かけます。金銀花(スイカズラ)は咲き始めが白く、2、3日で黄色く変色することから「金銀花」とも呼ばれるそうですが、生薬としての金銀花は花が咲く直前の蕾を乾燥させたものです。別名「忍冬」ともいい、文字通り冬でも葉や茎は枯れず、寒さに耐え忍んでいる様子からきたと言われています。葉や茎を乾燥させた「忍冬」は、解熱、解毒の目的で化膿性炎症に用いられ、「金銀花」の蕾は風熱による発熱、喉痛などに用います。抗ウイルス作用があり、「銀翹散」という風邪、インフルエンザの薬に処方されています。
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