2022.06
びわ  長崎県 
枇杷
分   類:化痰止咳平喘類
性味/帰経:涼、甘、酸/脾、肺、肝
働   き:潤肺止咳、生津止渇
枇杷葉
性味/帰経:平、苦/肺、胃
働   き:清肺化痰止咳、和胃降逆
食材紹介者:市川兼二朗


長崎県はびわの生産量が日本一です。長崎は江戸時代において唯一の海外との貿易が許されていた場所でした。それ故に様々な物資がもたされてきました。「びわ」もその中の一つで、中国からもたされたと言われています。「びわ」の旬は5月下旬から6月です。「びわ」は果実ばかりでなく葉にも薬効があります。果実の性味は涼/甘・酸で、帰経は脾・肺・肝。潤肺止咳、生津止渇の効能があり、葉は「枇杷葉」と言われ、性味は平・苦で、帰経は肺・胃。清肺化痰止咳、和胃降逆の効能があります。5月下旬から6月にかけての頃は紫外線の量が増え、肌にダメージが大きい時期です。そんな時こそは「びわ」です。「びわ」には活性酸素の発生を抑えるカロテノイドが豊富に含まれていますので紫外線対策にはピッタリで、美肌効果に優れた効果を発揮する食材です。


2021.1
※写真提供:トラフグ(市場魚貝類図鑑より)
湯引き料理(Kyushu-Fanより)
ガンバ(フグ) 長崎県島原市
分   類:利水滲湿類
性味/帰経:温、甘/脾、肝、肺 
働   き:補虚祛湿、殺虫
食材紹介者:市川兼二朗


島原地方の言葉で「ガンバ」とはフグの事を指します。フグは関西方面はテッサと呼ばれる薄く切った刺身を食しますが、島原は少し厚めに切ってそれを熱湯にさっと潜らせ冷水につける「湯引き」で食します。
テッサの場合、ポン酢にモミジオロシで食しますが、「ガンバ」の場合薬味は醤油にニンニク、梅肉等を使います。また、煮つけでも食します。煮付けを「ガネ煮」と言い、醤油、ニンニク、梅肉、砂糖、酒、味醂等を入れて甘辛く煮付けます。何故「ガネ」と呼ばれるかと言うと、諸説ありますが、ワタリ蟹の肉質に似ていることからと言われています。
フグというと高級魚の代名詞ですが、地元ではよく食べます。高級なトラフグもたまに食することがありますが、多くは食卓に並ぶのはナシフグです。冬から春にかけての今がシーズンです。


2020.05
茂木びわ(枇杷) 長崎県茂木
分   類:化痰止咳平喘類
性味/帰経:涼、甘、酸/脾、肺、肝
働   き:潤肺止咳 、生津止渇、下気止嘔、
      平肝清熱
食材紹介者:多根弘子


私の故郷長崎県は日本一のびわの産地です。びわはもともと中国が原産。茂木びわは、江戸時代後期(1830年頃)、代官屋敷で働いていた三浦シオが長崎の出島で中国人から唐びわの種を譲り受け、生家のある茂木に播いたことが始まり。食べ頃は初夏5〜6月。特に露地物は色が濃く非常に甘いです。子供の頃はあちこちにびわの木があり、鳥と競って食べた想い出があります。長崎の温暖な気候も最適だったのでしょう。果実、葉、種子それぞれに効能がありますが、果肉をコンポートやゼリーに加工したお土産も主力商品です。


2018.10
せんだんご(さつま芋) 長崎市島原市
分   類:補気類
性味/帰経:平・甘/肺・脾・腎・肝
働   き:益気健脾、和胃調中、潤腸通便
食材紹介者:市川兼二朗

 
島原地方には「ろくべえ」というさつま芋の粉で作ったうどんや饅頭(写真)がありますが、このさつま芋の粉は「せんだんご」と呼ばれ、さつま芋を発酵させ更に乾燥させて粉にしたものです。何故「せんだんご」と呼ぶかと言いますと、粉を作るのに、とにかく手間暇が掛かるのです。それで地元の人はこれ以上手間を掛けたくないということから、地元の方言で”もうせん(もうこれ以上したくない)“という言葉からこの粉のことを「せんだんご」と名付けたとの事。うどんを作る場合は自然薯を繫ぎに使います。出汁はアゴ出汁を使います。饅頭は皮に使い、繫ぎには小麦粉を使います。餡にはサツマイモを使います。いずれも加熱すると黒く変色する独特の特徴を持っています。


2018.09
長なす  長崎県島原市
分   類:理血類
性味/帰経:涼・甘/脾・胃・大腸
働   き:清熱止血、消腫利尿
食材紹介者:市川兼二朗

 
私のふるさと長崎市南東部の島原半島は、熊本県の天草諸島とともに雲仙天草国立公園の一部で、半島の中心「島原」は有明海に面して雲仙の伏流水が町のあちこちに湧きだしている水の豊かな所です。ここで収穫される茄子は、普通の茄子より15㎝から20㎝は長く、歯ざわりが良く、甘味が強いのが特徴。天ぷら、豚とナスのみそ炒めが抜群に美味しいです。
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